【体験記3号】*掲載期間2009年5月1日~2009年8月31日 いじめの裏側
こちらで紹介する【実体験記】は、当社(株式会社アクスイリュージョン イーメディア事業部)が一般公募し、独自に収集し、本人より承諾を得た体験談を綴っております。
また編集部より体験者に質問を実施し一部編集されております。
【ノンフィクションです】
あなたが実際に体験して乗り越えた危機や悩みに、今直面している人がいるかも知れません。そんな方に読んで頂くことで、道しるべになるかも知れません。
せっかく経験したあなたの貴重な体験談を是非お寄せ下さい。
株式会社アクスイリュージョン
イーメディア事業部 体験記編集部
いじめの裏側
今中学3年の娘の小学校時代のいじめについて話したいと思います。今から約5年近く前のことです。当時娘は小学校5年で、校区で行われていたジュニアバレーボールチームに所属して元気に練習していました(と思っていたのは親だけでした)。5年になった始め(4月頃)のある日暗い顔をして、もうバレーはやめたいと言いだしたのです。私の反応は一般的親のそれと同じで「自分でやりたいと言って始めたことは最後(卒業までは)までやりなさい」と言って叱りました。そして何とか納得させて、そのまま続けさせていました。この時点ではチームのレギュラーは12人で、先発メンバー6人(6年四人、5年二人)で娘は5年の二人の中の一人でした。それで親としては試合での活躍を見るにつけこのままやめるのはもったいないとの気持ち(親の都合)があったのも事実です。
私はそのことが契機となり少し注意して様子をみるようになりました。
毎月末に連絡を主として保護者ミーティングが開かれていたので、今までは特に注意することなく出席していたのですが、そこで話を個別に聞くようにしました。
5年で先発メンバーのもう一人の母親(小学校でもクラスが一緒で話しやすかった)は、バレーの経験者でチームのサポートをしていたので、それとなく話を聞いてみました。反応はみーちゃん(娘の愛称)はおとなしい(エラーを気にするタイプ)ので、しょうがないね。もう少しファイトが前面に出ればいいのにねとの反応でした。また女の子は波があるのでよくあることで気にすることはないというものでした。気を付けて見ているからとも言ってくださいました。それで帰って娘を叱咤激励するつもりで、そのおかあさんのアドバイスを真に受けて娘に話をしたら、娘の反応は意外なものでした。わたしあの子はきらい、あの子のおかあさんはもっときらいと言うものでした。
経験者で面倒見がよいおかあさんが言われたことなので少し安心したのが間違いでした。まだ状況把握が十分でなかったのです。この時点での私の理解は、子供は人間関係をうまくつくれないし、表面的なことで好き嫌いを決めるものなので、そのときは人の悪口は言ってはダメだとか、チームワークが重要なので少しの意見の違いは我慢して仲良くしなさいと言っていました。その後娘は私にも口を閉ざした状況になってしまいました。それでも夏休みまでは練習には出ていました。
私も心配で時々練習を見学に行くようになりました。よく見学している4年生のおかあさん(バレー経験者)に、この頃みーちゃん暗いねと話しかけられたので、少しこちらの状況を話したところ、そのおかあさんが詳しい状況を話してくれました。その内容は私には想像が付かない話でした。具体的にはさーちゃん達(5年生のもう一人の先発の子と他にキャプテンを含む6年3人でチームの中心)は、練習のときワザととれないボールを投げて、文句を付けたり、下手くそと悪態をつく(コーチの目の触れないところで)、スパイク練習の時ネットより低くトスしてスパイクができないようにする、サーブ練習の時ボールを回さないなどひどい嫌がらせをしている。それでみーちゃんは悔しくて泣いている(決して泣き虫で泣いているのではない)というものでした。さらに最近はさーちゃんのおかあさんもコーチがいない練習の時はみーちゃんをはずしたり、直ぐ無く子とみんなに聞こえるように悪口を言ったり、自分の子が悪いのにみーちゃんのせいにして叱りつけているとのことでした。素人からみれば運動部の普通の練習に見えたのですが、そのおかあさんが言われるにはすべて大人がみえない部分でやっているので、他の親もコーチ(男性)も気が付かないし、どうもそのようなことにはふれたくないとの様子がみてとれるとの話でした。
さすがに目に余るので子供やさーちゃんのおかあさんに注意をしてくれたようですが、下級生の母親(新入りの)は口出すなと言わんばかりに無視される状況とのことでした。それもあって練習を見に来ていたらしいのですが。
これを聞いて事態の深刻さに行動をおこすしかありません。さーちゃんのおかあさんに掛け合ったり、コーチの家に話しに行ったりしましたが、対応はひどいものでした。さーちゃんの母親は言いがかりだと逆ギレして悪態をつくし、コーチは身内の身びいきでフィルターを通してみていると考えているようで、教育者ではないのでとそのような話をしたくないとの素振りでした。さらに練習では中心メンバーの意見だけが通る状況でした。例えばエラーをよくするので先発からはずすように子供が要求したら、そのエラーの背景を理解しないコーチは、その要求通りにするような事態が頻繁におこりました。そして子供達は先発はずしが成功するとますます増長して、練習以外にもエスカレートがはじまったのです(靴をかくしたり、持ち物を壊したり)。
このような状況の中でも娘はけなげにも冬まで練習にはでていました。というのも運動がすきなことと自分より下手な人でずるい人たちに負けたくないとの気持ち(後で聞いて解ったことですが)があり、続けたとのことでした。
親としてもこのような状況で最後まで続けなさいとは言えなかったので「1年以上(これも後で解ったことですがいじめは4年の秋頃から既にあった)もよく頑張った、やめてもいいよ」といってあげました。この言葉で娘は少し明るくなりました。それでも、それから3ヶ月練習には行きましたが、先の下級生(唯一の話し相手)がやめたのを契機に本人もやめることになりました。
親としては自分の子供がこんなにも強く前向きだったことに初めてきづかされて、自分の子供なのに正しく理解していなかったことに少し情けない気持ちを持ったのと同時に、大人以上によく頑張った子に心からよくやったと抱きしめてほめてあげました。
結局チームにはいじめをする子供達とその母親達、自分の子供がいじめられていなければ無関心をよそおう親の集団になりました。その後も何人かやめたとの噂をききました。悲しい現実ではありますが、結局親の生活態度が子供をおなじような人間に育てている現実は直視せざるをえません。私としてもこのようなずるい理不尽な親に対して、やめるという手段しかとれないことに憤りを感じましたが、親の憤りより溺れている子供を助けるのに、手段を選らんでる余裕はありませんでした。実際に体験されていない方は、もっと戦うべきだと思われる方々もおられると思いますが、当事者には、実際にとる手だてはこのような消極的な手段しか残っていないのです。消極的手段があればまだ良い方で、これが学校であればやめることもできません。
そして、同様な状況が学校でも十分あり得るのです。この場合いじめられる側は孤立した立場におかれてしまいます。ずるい人間(親と子供の両方)はでっち上げの噂を流す姑息な手段で、直接関係のない人はそれを鵜呑みにする状況が作られます。この状況から味方をつくって、状況を打破するには相当なエネルギーを必要とします。仕事をもっている場合には相当困難をともなう労力を要求されます。
このため考えたことは学校までいじめがエスカレートするのは何としても阻止することでした。幸いにも6年ではクラスも代わり、学校にまで波及することもなく済み、無事卒業しました。中学では陸上部に入り最後まで全うしました。ただ、親は常にいじめの不安がつきまとい気を抜けない毎日でしたが、元気に部活を行い一段とたくましくなった娘にほっとしています。
最後に経験から言えることとして、いじめも千差万別です。私たち親子が経験したいじめは、いじめの裏側の一端にしか過ぎません。学校などでいじめにあった時には現実には周囲の理解が必要です。他の人が傍観しているだけでなく、両方の意見を聞いて真実を見極めて頂きたいと願います。結局それが自分の子供を守ることになるからです。傍観しない人が増えればそれだけで抑止力になると思います。学校に波及しなかったのは、クラスでは複数の親が問題意識をもってくれたことが一部のモラルの低い人たちの増長を防いでくれたと感じております。
また躾もかなり難しいとも感じました。一般的なモラルでの子供の教育はいじめの中では意味をなさないことも痛感させられました。最後までやり通せとか仲良くしなさいとか通常当たり前の話をノー天気にしてはいけない現在に非常に辛いものを感じております。ただやはり、正しい見方をする仲間が必ずいるのも事実ですので、このような方々との日々のコミュニケーションが重要だとも感じている今日この頃です。
川田良子
●寄稿者との一問一答
編集局
今回いじめ問題を書いて頂きましたが、いじめの契機は何だったのでしょうか?
川田 本当のところはよくわかりませんが、やめた当時、本人が話した内容は以下のようなものでした。いじめられている子がいて、そのいじめに加わらなかったことが気に障って、逆にその子の代わりに嫌がらせが始まったとのことでした。
また、そのいじめられていた子が、いじめの側に入って積極的に嫌がらせに加わっていたとの話に怒りを覚えたことを記憶しています。痛みを経験したものは、同じ痛みをもつものを助けるような道徳的な美談はそこにはありませんでした。
編集局 いじめの程度としてはどのようにお考えですか?
川田 ニュースで自殺される方もおられる中で、私共が経験したいじめは軽いものと思われ方もおられると思います。しかし本人に取っては辛いことで、その程度が軽い云々は言えないと思います。性格の弱い子であれば最悪の事態になったかもしれませんから。
編集局 子供さんがやめると言われる半年も前から、いじめがあったようですが、なぜ気付かなかったのでしょうか?
川田 練習のあった日は、少し暗い感じもありましたが、練習疲れのせいもあってそうなのだろうと勝手に思っていました。それ以外の日は学校であった話などよく話していたので。
編集局 子供さんが口を閉ざした状況になられたとありますが、もう少し具体的に教えてください。
川田 バレーのことだけでなく、学校のことも殆ど話さなくなったことやこちらから質問したことにも答えない状況になりました。また答えないことを叱ると反抗的な態度をとりました(ものを投げるとか扉を乱暴に開け閉めするなど)。
編集局 子供だけでなく親の問題とも言われていますが、少し詳しく教えてください?
川田 ニュースなどではプライバシーの問題かどうか解りませんが、あまり報じられていませんが、実は親が問題のケースがよくあります。例えば、子供を学校へ茶髪で行かせる親、先生が叱ったら、それに対して文句をいう親、ずるいことをして何が悪いと言い放つ親、いじめられる方が悪いと言い放つ親など、親がモラル欠如のケースも多くあります。そして、その親の生活を体現している子供は同じようなことを当然のように学校や集団生活に持ち込みます。子供は教育で何とかなるような気もしますが、親を再教育することは現実問題としてできません。そのため、いじめる側を止めさせることがなかなか難しいのです。
編集局 いじめを未然に防ぐ方法があるとしたら、どのようなことでしょうか?
川田 いじめは偶然に起こることが多くなかなか未然に防ぐことは難しいような気がします。普通にしていても(こちらに非が無くても)、いじめはおこります。ただ親は出来るだけ子供の話を聞き、マイナスの話をすることが多くなったらより注意を傾けることだと思います。
編集局 いじめで困っている方がおられたら、どのようなアドバイスがありますか?
川田 あまり道徳的な話を押しつけないでまずは子供の話をよく聞くことだと思います。また横の連帯を普段から作っておくことも重要なことです。それにより情報が入りやすくなり、協力も得られやすくなると思います。
編集局 最後にお子さんにはどんな人間になってもらいたいと思いますか?
川田 思いやりの心を持ち続けて、自分の目標に明るく前向きに取り組むような人間になって欲しいと思います。
編集局 ありがとう御座います。子供さんが思いやりのある人になって、自己実現が達成されることを私どもも期待しております。






